日本の伝統的な風習であるお盆。先祖の霊をお迎えしたり、お見送りしたりする行事です。マナーや慣習について基礎知識を深めましょう。

お迎えの準備

お盆は、先祖や亡くなった方たちの霊が一年に一度家に帰ってくる大切な日となるため、お迎えするための準備をしっかりと整えておかなければなりません。特に、初めてお盆を迎える初盆、新盆のときには、基礎知識もしっかりと身に付けておく必要があります。
お盆では、盆棚、精霊棚と呼ばれる霊をお迎えするための祭壇を準備します。お仏壇の前に机などを置いて、そこにござや真菰を敷いて中央に位牌を安置します。

盆棚には、香炉や燭台、花立、りんを配置して、お迎えだんごや精進料理のお膳、そうめんや季節の野菜、果物などをお供えします。
また、ナスやキュウリに割り箸を指して牛や馬を模した精霊馬をつくってお飾りをします。ナスやキュウリを別にさいの目に切って洗った米と混ぜたミズノコや、水に蓮の葉を入れたあかみずをお供えすることもありますが、できる範囲で盆棚を飾るのが一般的です。

お盆の迎え方

盆入りの7月または8月の13日に戻ってくる先祖の霊が迷わないように、目印として火を焚く風習を迎え火といいます。お迎えのために焚く火には、一般的には、「おがら」を使用します。麻の皮を剥いだもので、最近では時期になると花屋やホームセンターなどで手に入れることができます。
麻は古来より清浄な植物として扱われていたため、おがらを焚くことによって祓い清めたり、清浄な空間を作りだしたりするのに適しているとされています。

迎え火には、おがらの他、松明や藁、ろうそくなどを用いることもあります。お墓から家までの道筋にたくさんの松明を灯したり、川べりにキャンドルを並べたりする地域もみられます。
アパートやマンションなど、玄関やベランダなどで火を焚くことが難しい場合には、盆提灯を代わりに使用することができます。提灯は、鎌倉時代に京都でお盆に精霊を迎えるための目印として門口に高い竿を立て、提灯を提げる風習がありました。

送り火・送り盆

お盆の最後の日となる7月または8月の16日の夕方、先祖の霊を送り帰すために火を焚くことを送り火や送り盆といいます。迎え火によってあの世から我が家に戻って来た死者の魂を再びこの世からあの世へ送り出します。手順は、家の門口や玄関先でおがらを使って火を焚く迎え火と同じです。

盆棚、精霊棚に飾られた精霊馬は、馬と牛を模ったものですが、帰りは、供物を乗せた牛を引きながら、ゆっくりとあの世へ戻って欲しいという願いも込められています。お盆が終わった後は、精霊棚や供物は出しっぱなしにしないできちんと片付けなければなりません。
昔は、送り盆とともに河川や海に、お供え物などを流す風習がありましたが、現在は環境への配慮から禁止されているところが多いようです。塩で祓い清めた後に、ごみとして処理するようにしましょう。

地域によって異なる習慣

お盆の迎え火や送り火などの風習や習慣は、地域によってさまざまなものがあります。
新暦で7月にお盆の行事を行う東京都などの都市部の一部では、迎え火や送り火の火のついたおがらの上を3回またぐと無病息災にご利益があると信じられているようです。地域によっては、迎え火や送り火を焚きながら宗派のお経や地域に伝承されていることばを唱えるところもあります。

送り火には大掛かりなものもあり、大きく分けて山の送り火と海の送り火があります。
山の送り火としては、京都の夏の風物詩として多くの観光客が訪れることで有名な五山の送り火や奈良の高円山大文字送り火などがあります。
海の送り火としては全国的に灯篭流しや精霊流しが有名ですが、なかでも長崎や盛岡のものがよく知られており、その由来や行事の内容、時期などは地域によって、それぞれ異なっています。

最近は、お盆というとお盆休みしかイメージできない若者が増えているといわれています。一年に一度だけ、亡くなった方の霊があの世からこの世、それも自宅に帰ってくる大切な日であるということは最低限、理解しておきましょう。お迎えやお見送りの仕方などの基礎知識を深め、日本の伝統文化を後世に残していくことが大切です。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

関連する記事

お年玉の歴史は?お雑煮との関係について

子どもがお正月で一番楽しみにしているお年玉。その古い歴史や由来、子どもに与えるようになった理由やお雑煮との意…

やすフォー / 522 view

知っているようで知らない十五夜!基本事項を覚えよう

十五夜という言葉を聞いたことがあっても、意味を説明するのは難しいかもしれません。十五夜とはなにか、十五夜の基…

やすフォー / 498 view

知っておくべき!お盆とお墓参りの基礎知識とは?

お盆やお墓参りは日本の伝統です。胸を張って「日本人のお盆はこうだ!」と外国の人にも紹介できるよう、基礎知識を…

サン / 594 view

関連するキーワード