和食は、出汁とともに醤油や味噌などの調味料が欠かせないものですが、その味付けは地域別で違いがあります。関東、関西、東北、九州の味の特徴について調べてみました。

関東

高温多湿の気候をもつ日本では、他のアジア地域と同様に発酵食品文化が早くから根付きました。特に、味噌や醤油、酢や酒、みりんは和食に欠かせない調味料となっています。汁物、煮物には調味料だけでなく鰹節や昆布などの出汁が加わることで旨味が生まれます。
和食のベースは同じですが、地域別で味付けに違いが生じることがあり、人それぞれに慣れ親しんだ郷土の味を持っています。

関東は、武士によって料理文化が発達したといわれており、味も色も濃厚なことが味付けの特徴です。江戸を中心に醤油文化が発展し、加えて砂糖などの甘味を加えることも流行し、江戸時代後期には味噌汁にも砂糖を入れていたという記述もあります。このような伝統から甘辛味の濃い味が関東地方の味付けのベースとなっているようです。
郷土の味や食材が最も反映されているといわれるお雑煮では、かつお出汁と醤油ベースのすまし汁で鶏肉や地場野菜を具材として使用しています。

関西

全国的に薄味であることで知られている関西は、京都の公家、大阪の商家によって発展した料理文化であるため、優雅な淡味で素材の味を活かすことに重点が置かれています。
江戸末期の書物では、甘味を加えた醤油味の関東の味付けに対して、食品の味を損なうとして批判したという記述もあります。関東ではうどんのつゆは、うどんを味わうためのつけ汁という意味合いが強いものですが、関西では出汁をきかせた薄味の汁であるため、最後の一滴まで飲み干すことが多いようです。
関西で使用する薄口醤油は、濃口醤油よりも塩分が20%ほど高めですが、一杯あたりのうどんに使う醤油の量は関東地方の3分の1程度といわれています。
京料理はさらに薄味で、素材本来の味を活かすために出汁づくりに神経が注がれています。お雑煮は、昆布出汁がメインの白味噌仕立てで、地元で生産されている特徴のある野菜をふんだんに使うのが特徴となっています。

東北

東北地方の人々は、甘さも辛さも強いものを好む傾向があるといわれています。
豪雪地帯も多くあるため、厳しい冬の間に頻繁に買い物をするという習慣があまりありません。農作物も採れなくなるため、古くから塩漬けなどの保存食の文化が発達しました。東北地方においしい漬物が多いのもそのような理由からです。
今でも塩分を大量に含んだ漬物が県民食となっている地域もあり、WHOが定める1日の食塩摂取目標量が5gであるのに対し、ある県の男性は13g近く摂取しているという調査結果があるほどです。脳卒中や急性心筋梗塞などの脳血管疾患の死亡率のワースト上位を東北各県が占めたことから、現在では、自治体が積極的な減塩運動を普及しています。
お雑煮は、鰹節や具材となる地場魚などからでた出汁と醤油ベースのすまし汁が多いようです。

九州

とんこつ味に代表されるこってりした味付けで有名な九州地方は、地域別の砂糖1人当たりの年間購入数量が全国平均をかなり上回っていることから甘党の地域であるともいえます。
一般的に日本列島を南下するほどに醤油の味が甘くなるといわれており、南九州では、刺身醤油も素麺などのつけ汁も砂糖がふんだんに使用されているのも大きな特徴です。朱印船貿易や南蛮貿易の時代に砂糖が全国に先駆けて入ってきたことにも影響を受けており、長崎を代表するお菓子、カステラも濃厚な甘さが際立つものです。
出汁には、鰹節や昆布のほか、干し椎茸を使用する地域や煮干しややきあごなどの魚介を使用する地域も混在しています。全国的に米味噌を多く使用する傾向があるなかで、麦味噌を使用する地域が多いのも九州ならではの特徴と言えるでしょう。
お雑煮は、鰹節や昆布、煮干しなどから取った出汁にかまぼこや鶏肉、椎茸や地魚などの具材を入れて醬油ベースで食べるものが多いようです。

和食は、出汁とともに味噌や醤油を使って味付けをしますが、同じメニューであっても地域別に微妙に味に違いがあります。甘辛味の関東、出汁で素材を活かす薄味の関西、塩分濃度の高い東北、こってりと甘さが特徴の九州など、それぞれの地方の味の特徴を知って、食べ比べしてみるのもおすすめです。

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