古くから自然を尊び季節の移り変わりを大切にしてきた日本には、献立が年中行事と深い結びつきをもっています。現代にも受け継がれている伝統的な食事について解説します。

おせち

新しい年の幕開けにふさわしく正月気分を盛り上げてくれるおせちには、さまざまな願いや思いが込められています。
おせちは、もともと季節の移り変わりの節目となる節日に供される食べ物として宮中行事で食べられていたものでした。節日は今でも、桃の節句や端午の節句など、節句として受け継がれています。
数ある節日のなかでも、新しい年を重ねる大切な元旦は、特別なものとして盛大に祝われていました。江戸時代になると一般庶民の間にも浸透し、現在のようにさまざまな食材が重箱に詰められるようになったといわれています。
おせちの一の重に入れられる。数の子、田作り、黒豆は、祝い肴といわれ、これが揃わないと正月が来ないといわれたほどです。それぞれ、子孫繁栄、豊作、元気で長く生きて豆に働くなど、家庭の幸せや豊作、豊漁にちなんだ食材がメニューとして使用されており、日本の伝統的な食事を代表するものと言えるでしょう。

精進料理

最近では、宿坊での宿泊や寺社巡りツアーでも供される精進料理。仏教と関連の深い料理です。
「精進する」ということばは、現在でもよく使用されますが、もともと、仏の教えによってひたすら仏道修行に努めることを指すものです。美食を戒めて粗食であることが修行のひとつであり、殺生を戒める仏教の教えから、肉類や魚介類などを一切使用しません。一般的には、葬儀や法要などで出されることが多いものです。
朝食は、日本の伝統的な食事のスタイルである一汁一菜で、ご飯と沢庵、味噌汁といった質素なものです。夕食には、穀物や豆類、野菜などを使った副菜が供されますが、観光客が食べる精進料理とは全く異なります。一般の方用の精進料理に人気があるのは、見た目や味が肉や魚にみせかけた「もどき料理」がヘルシーであることによるものでしょう。
食材の味をそのまま生かすために調味料の使用を抑え、食材を余すところなく使用する無駄を出さない料理というのが基本になっています。

七草粥

七草粥は、関東地方の正月松の内の最終日の1月7日に食べる春の七草が入ったお粥です。
ほとんどの人が、正月のご馳走の食べ過ぎやお酒の飲みすぎで疲れた胃腸を労わるために食べる物と思っているようです。確かにその意味もあって現代でも残っている行事のひとつですが、本来は、五節句のひとつ「人日の節句」という行事を祝うものです。
元日を鶏、2日を犬、などとそれぞれの占いをたて、8日に穀を占って新年を運勢をみていたという中国の古い習慣に由来しています。7日が人の日として7種類の若菜を入れた汁物を食べて、1年間の無病息災を願うようになったものが今に続いています。
現在では、すずしろ、せり、はこべら、ほとけのざ、すずな、ごぎょう、なずな、の春の七草と呼ばれるものを入れて粥をつくって食べるのが一般的です。
七草粥には、青菜が不足しがちな冬の時期に栄養補給する意味もあります。

年越しそば

大晦日の除夜の鐘が鳴るまでに、鳴るのと同時に、鳴り終わってから、など、食べるタイミングはさまざまですが、現在でも縁起をかついでそばを食べる日本の伝統的な習慣が残っています。
その起源については諸説ありますが、鎌倉時代に現在の福岡県のお寺で、年を越すに越せない貧しい人にそば餅を振る舞ったところ、翌年の運勢が上がったというエピソードによるものとするものがあります。
また、細くて長いそばは、健康長寿や家運長命などの縁起を担いで食べられるようになったという説もあります。
江戸時代のファストードとしてすっかり定着していたそばに縁起が加わったことで広く庶民にその習慣が浸透しました。子宝に恵まれるようにとニシンを乗せたり、腰が曲がるまで長生きしたいと海老をのせたり、商売繁盛の神様であるお稲荷さんにあやかって油揚げをのせたり、と地域によってさまざまな味わい方があるようです。

おせちや精進料理、七草粥や年越しそばなどの和食を日頃からなんとなく食べていませんか。日本人として恥じることのないよう、古い歴史や日本の四季、年中行事などと深い関りのある伝統的な食事の意味を理解して和食をいただきましょう。

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