日本には、年齢に応じて長寿を祝う伝統的な行事があります。親族や近隣の方などが集まって催される盛大なお祝いの由来や種類、習慣や祝い方について調べてみました。

中国での風習が起源

出典:shutterstock.

長寿のお祝いは、家族や周りの人が長寿に達したことを喜び、記念して行う儀式のことです。古くから日本で行われているしきたりがそのまま残っています。
もともとは、中国の風習が奈良時代に取り入れられたもので、当時は、数え年で40歳以降となった10年ごとに、「四十の賀」、「五十の賀」、「六十の賀」として祝うものでした。
70歳の長寿を祝う古希は、中国の唐の時代の有名な詩人、杜甫の詩の中の一節、「人生七十古来稀也」に由来しているとされています。
平安時代には、「五八の賀」と呼ばれる40歳を祝うものもありました。今、長寿祝いで40歳と聞くと驚きますが、人生40年、50年といわれた寿命の時代もあったことから、当時としてはごく普通のことだったのでしょう。
室町時代の末期になると、40歳を過ぎても存命であることが増えたため、「五八の賀」を祝う習慣が薄れ、現在のように還暦や古希などと呼んで祝うようになったようです。

赤いちゃんちゃんこを着る理由

還暦祝いの記念写真をみると、主役が赤いちゃんちゃんこや頭巾を身に付けて写っていることがほとんどでしょう。昔は、還暦のお祝いというと赤色の頭巾をかぶって、赤いちゃんちゃんこを着て、赤い座布団に座って祝うというのが定番でした。
還暦は干支が一巡して生まれた年の干支に戻る、「暦が還る」ことに由来しているとともに、「赤子に還る」という意味も含まれているといわれています。
また、「本卦がえり」とも呼ばれており、数え年の61歳になると、一族が集まって、生まれ直すことを祝い、赤いものを贈って無病息災を祝福するのがしきたりとなっていました。
赤は生命の尊重である太陽を意味し、魔除けや厄除けの効果もあると信じられています。現代では、還暦を迎える人がまだまだ現役であるため、ちゃんちゃんこではなく、財布などの小物、タオルやシャツなど、ワンポイントでも赤色があれば、それをお祝いの品としてプレゼントすることもあるようです。

数え年?満年齢?

長寿のお祝いは、昔から数え年の誕生日に祝うものでした。最近では、七五三などもそうですが、満年齢で祝う日とも増えています。ただ、長寿のお祝いのなかでも、干支が一巡する還暦だけは、必ず満60歳、数え年61歳でお祝いするのが原則となっているようです。
長寿のお祝いには、七十七を縦に書くと喜の草書体に似ていることから「喜寿」、傘の文字の略字を分解すると八と十になることから「傘寿」、八十八を縦に書くと米の文字になることから「米寿」、百から一を引くと白という漢字になることから、あと一歳で百歳という「白寿」などがあります。
昔は、長寿の希望を込めて考えられていたものでしょうが、超長寿時代となった現代では、100歳以上の長寿を祝う「百一賀」や「茶寿」、「皇寿」なども当たり前のように行う日が来るかもしれません。

地域によってお祝い方もさまざま

日本の古くからの伝統である長寿のお祝いは、さまざまな文化が根付く地域によっても祝い方や特に重視しているお祝いの年などに違いがあります。
北海道では、米寿に赤いちゃんちゃんこを贈る習慣があります。東北地方でも、還暦よりも米寿のお祝いが一般的で、青い座布団を贈ることで知られています。中国地方では、還暦に赤いちゃんちゃんこを贈るとともに米寿のときには、紫の座布団を贈ってお祝いします。
また、地域によっては、お祝いのお返しとして自分の年齢を入れた風呂敷を配るという習慣が残っているところもあります。九州地方の一部では、米寿の際に、ものさしや餅を配って祝う風習が根付いているところもあります。
このように地域によって長寿のお祝いもさまざまですが、家族や近隣の者で長寿をお祝いし、その幸福にあやかりたいという思いは同じでしょう。

長寿のお祝いは、中国の風習を由来として日本に古くから伝わる伝統的な行事のひとつです。赤いちゃんちゃんこを身に付ける、満60歳のお祝い、還暦が有名ですが、現代ではまだまだ現役世代であり、地域によっては米寿を盛大に祝うところも多いようです。

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